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大阪地方裁判所 昭和47年(ワ)4342号 判決

昭和四七年(ワ)第一四八八号 原告

同年(ワ)第四三四二号 被告

オリエント・リース株式会社

右代表者

乾恒雄

右訴訟代理人

田村徳夫

外二名

右同年(ワ)第一四八八号 被告

同年(ワ)第四三四二号 原告

濠綿株式会社

右代表者

太田正男

右同年(ワ)第一四八八号 被告

太田正男

右両名訴訟代理人

谷口茂高

外一名

右同年(ワ)第四三四二号 被告

丸紅エレクトロニクス株式会社

右代表者

大久保利春

右訴訟代理人

北川豊

外一名

主文

一  (昭和四七年(ワ)一四八八号事件)被告らは、各自同事件原告に対し、金一、四九六万一、七七三円および内金一、四五二万六、七一九円に対する昭和四七年一月三一日から支払済まで日歩金四銭の割合による金員を支払え。

二  (昭和四七年(ワ)四三四二号事件)被告丸紅エレクトロニクス株式会社(以下、「被告丸紅」という。)は、同事件原告に対し、金二四七万五、一三七円およびこれに対する昭和四七年一〇月一三日から支払済まで年六分の割合による金員、ならびに、前記昭和四七年(ワ)第一四八八号事件の判決確定を条件として、金二七一万四、九七三円およびこれに対する昭和四七年一月三一日から右判決確定の日まで日歩金四銭の割合による金員をそれぞれ、支払え。

三  (昭和四七年(ワ)第四三四二号事件)原告の被告丸紅に対するその余の請求および同事件被告オリエント・リース株式会社に対する請求は、いずれも、これを棄却する。

四  訴訟費用はこれを五分し、その三を(昭和四七年(ワ)第四三四二号事件被告)丸紅株式会社の負担とし、残余の二を(昭和四七年(ワ)第一四八八号事件被告、同年(ワ)第四三四二号事件原告)濠綿株式会社の各負担とする。

五  この判決の主文第一項は、金一五〇万円、同第二項は金八〇万円の各担保を供したときは、仮に執行することができる。

事実《省略》

理由

〔昭和四七年(ワ)第一四八八号関係〕

一原告と被告濠綿との間で、昭和四五年四月三日、被告濠綿が原告から本件会計機を同年五月三一日から三ケ年借受け、その間毎月三〇日限り月金五三万八、七〇〇円の割合によるリース料を支払い、右支払を遅滞したときには日歩金四銭の割合による遅延損害金を支払う旨の契約(以下「本件契約」という。右契約の性質については暫く措く。)を締結し、同年六月三〇日、その引渡をうけたことおよび被告太田が被告濠綿の本件契約の履行について連帯保証をした事実ならびに被告濠綿が、昭和四六年二月末日限り支払うべきリース料(第九回分)以降、その支払をなさないので、原告が昭和四七年一月一九日被告らに対し、未払のリース料全部(第九回分から第三六回分まで)の即時弁済を請求した事実は、原告と被告濠綿らとの間で争いがない。

二右の外、原、被告濠綿間の本件契約の合意的内容について、先ず検討する。

〈証拠〉によれば、次のような経緯により、本件契約が締結されたことが認められる。即ち、右契約が締結される以前の、昭和四五年二月二日、原告社員訴外丸山博が、本件契約の内容説明と、被告濠綿の資産調査を兼ねて被告濠綿を訪れ、被告濠綿代表取締役兼被告本人太田正男、同経理課長らに対し、本件契約の内容を説明し、本件会計機の貸与に当り、本件会計機の売買代金に、金利、固定資産税等経費、手数料等を加算した金額を貸与月数で除して、算定される額を月額リース料として徴収する、右リース料は貸与期間の長短で増減するとして右期間を五年或いは三年とする各場合につき、リース料を試算し(その結果、被告濠綿では右期間を三年としたい旨、丸山に伝えた。)、その他に、被告濠綿が本件契約を締結すると、契約期間中、原則として、契約解除ができず、特定の場合に限り合意解除が認められるが、その場合でも貸与年数に応じ一定の規定損失金を原告に支払わねばならないこと、および固定資産税、保険料は原告において負担すると説明した。そうして右丸山は、同月三日、被告濠綿宛、貸与(リース)期間を三年とする本件会計機のリース料は月額金五三万八、七〇〇円である旨を試算した「リース試算書」と題する書面(甲第一八号証)を郵送し、さらに、同年二月一二日、原告は被告濠綿宛に「リース契約書」と題する契約書(甲第一号証)用紙、借受証(甲第二号証)用紙、リース請求書および「契約手続要領に就いて」と題する書面(甲第一七号証)を送付した。

右「リース契約書」中には賃貸人として原告の記名、捺印と第一条から第二六条にわたる契約条項の記載(活字印刷)、同契約書裏面には、賃借人によりその内容を異にする(1)リース物件名、(2)リース物件の売主名、(3)リース物件の設置場所、(4)引渡予定日、検査期間、(5)リース期間、(6)リース料額、(7)規定損失金額等の記載(タイプ印刷)があるところ、右契約条項として、

1  第六条一項は、「貸与物件の規格、仕様、性能、機能等に不適合、不完全その他の瑕疵があつたときでも、貸主はその責任を負わない。」旨、定め、その五条三項、六条二、三項は「借主が、右物件の引渡しを受けた後所定期限までにこれを検査した上、右物件の瑕疵あるときはこれを、直ちに貸主に通知し、或いは、貸主に交付すべき借受証にその旨を記載した場合においては、貸主は貸与物件の売主に対する損害賠償請求権を借主に譲渡するか、借主が右通知を怠つたときは、物件は完全な状態で引渡されたものとみなされ、借主は以後一切の苦情を述べることができない。物件の隠れた瑕疵についても同様である。」旨、

2  第一三条一項は、「物件の返還までに生じた、物件の滅失、毀損についてのすべての危険は、借主が負担する。」旨、同条三、四項は「物件が滅失したときは借主において規定損失金を支払う。借主が右支払を完了したときは、リース契約は終了する。」旨、

3  同契約書一七条一項Aは「借主がリース料の支払を一回でも遅滞し、またはこの契約条項の一にでも違反したときは、貸主は通知、催告を要しないでリース料またはその他の費用の全部または一部の即時弁済の請求をすることができる。」旨、

4  同契約書八条一、二項は賃借物件の保守、修理は一切借主においてなす」旨、それぞれ定められ、また「契約手続要領に就いて」と題する書面中には物件納入後借主が物件の検収をなし、検収完了後「借受証」に日付記入、記名捺印して原告に送付すること右「借受証」が検収書に替るもので、借受証の交付に伴つてリース期間に入り、爾後、規定リース料を支払うこととなる旨記載(活字印刷)してあつて、前記丸山も被告濠綿の担当社員にこれら書類を読んでおくように指示していた。

被告濠綿では、これら書類の送付を受けた約一カ月半後である、同年四月三日、右「リース契約書」中に賃借人として被告濠綿の記名捺印をなし、連帯保証人として被告太田が署名捺印して、同日、原告に前払リース料を支払うとともに、右「リース契約書を返送した。以上認定に反する証拠はない。

右認定事実によれば、被告濠綿は本件契約を右「リース契約書」により締結したのであるから、その合意の内容は前記丸山が被告濠綿を訪れ、説明した事項に限られるものでなく、右契約書の表面および裏面に記載された全ての規定、内容につき合意があつたものと認めるを相当とする。

三被告濠綿らは本件会計機の瑕疵を理由として本件契約の解除を主張する(抗弁1)が、前記認定「リース契約書」六条一ないし三項、五条三項のとおり本件契約では瑕疵の主張の方法、期間を制限し、かつ、貸主の義務も損害賠償請求権の譲渡に限定されているところ、借主の被告濠綿は、借受証を交付する際、同証に本件会計機の瑕疵を記載しなかつたことは原告と被告濠綿らとの間で争いがなく、また、被告濠綿が原告に、直ちに右瑕疵を通知した事実も何ら証拠上、存しない。

そうすると、本件会計機の瑕疵を理由に本件契約の解除を主張する被告濠綿らの抗弁1は本件会計機の瑕疵の存否 契約解除の意思表示の有無を問わず、その理由がないものといわなければならない。

四被告濠綿らは、前記特約リース料の一括即時弁済を定める規定は借主に苛酷な約款をきめ、被告濠綿らの無思慮に乗じて締結させたものであり、また賃貸借契約の本旨に反するから無効であり、その権利の行使は権利の濫用となる抗弁する(抗弁2(一))ので本件契約の成立の経過およびその性質につき検討する。

(一)  〈証拠〉によれば次の事実が認められ、これを覆えすに足りる証拠は存しない。

被告濠綿は、前記の如く原告から本件会計機を借受けるに先立ち、本件会計機の輸入、販売を扱う被告丸紅(昭和四五年当時は旧商号の第一商事株式会社)社員訴外竹内寛から本件会計機を紹介され、被告濠綿において本件会計機を導入、活用して同被告の会計業務を合理化することに決めたところ、右竹内より右機械を導入する方法として同機械を被告丸紅から買受ける他に 他のリース会社からリース(賃貸)することができる旨、教えられ、その後前述の如く原告の社員丸山の説明もうけて本件会計機を賃貸することに決め 原告でも丸山の調査報告により被告濠綿の営業資産内容は良好と認められたので本件契約を締結した。

原告は、被告濠綿らとの本件契約の成立により、その直後である、昭和四五年六月六日、被告丸紅から本件会計機購入し、同月二五日、被告濠綿が同丸紅からその引渡を、直接、うけて同月三〇日、原告に借受証を交付し、異議なく本件会計機を借受けたので、原告は被告丸紅に右購入代金を支払つた。原告と被告丸紅に右購入代金を支払つた。原告と被告丸紅との間の売買契約において、売主は本件会計機の保守サービスを、直接、借主に対して負担することを約している。右認定事実の外、本件契約成立までにさきに認定したような書類の受渡しがなされており、「リース契約書」によれば、借受物件に瑕疵があり、同瑕疵を被告濠綿において主張することができる場合でも、原告は同被告に対し、売主たる被告丸紅に対する損害賠償請求権を譲渡すべき義務のみを負い、不可抗力による借受物件滅失の危険も被告濠綿がこれを負担し、同被告に契約違反或いは資力不安が生じたときは、原告は履行期末到来のリース料についても、即時弁済請求ができると規定され、被告濠綿が、原告に賃借期間中、払うべきリース料総額は、本件会計機の売買代金に、金利、固定資産税等の経費、手数料を加算した金額であつて、それは、被告会社が、本件会計機を金融機関等より融資をうけて自ら購入した場合に支払う金額と左程相違しない。

また右リース料には、通常の賃貸借における賃料と異なり、借受物件の保守、修繕に必要な費用は見込まれていず、借受物件の保守、修理は一切借主においてなす(右「契約書」八条一、二項)ことが規定されている。

(二) 以上の事実を総合すれば、本件契約は 借主において貸主に先んじて目的物件の売主との間で同物件を選択、特定し、それを購入する場合の価格 納期、保守等の諸条件を決定し、その決定されたところに従い 貸主が借主に代わつて右物件を購入して借主に貸与するものであつて、右趣旨に従い貸主は右購入代金、金利その他を貸与期間中に借主から回収するものとし、右物件の使用、又は借主の更替を予定しておらず、実質的には、借主が借受物件を買受けるのであつて、貸主は、借主に貸与物件の購入資金を融資して、借主に同物件を購入したのと同一の経済的効果を与えることを意図するものと認められる。

従つて本件契約は民法上の賃貸借契約とは、その外形が類似するものの、制度的には右法概念のみではすべて律しきれない新しい経済的制度であつて、長期にわたつて借主に支信をあたえ、機械、設備を占有、使用させることを目的とする金融的性格を有するものであり、(原告は本件契約を「リース(フアイナンシヤル・リース)契約」と呼称するので同名称に従えば、本件契約は、リース契約である。)被告濠綿も本件契約の右のような経済的な目的を認識して本件契約を締結したものといえる。

(三) 本件契約が、与信供与的機能をその本来の目的としている以上、前記一括即時弁済請求の条項は、貸主において借主に信用が生じた場合、与信金額につき、期限の利益を失わせ、与信金の確実な回収を意図して設けられたものであつて、合理的根拠を有するものである。そうだとすれば、本件契約が賃貸借であることを前提としていう被告らの2の抗弁も、これまた採用できない。

五被告濠綿らは本件会計機に瑕疵の存することを理由にその支払義務のないことを主張せる(抗弁2(二))が、その理由のないことはさきに三項で判断したとおりである。

六被告濠綿ら本件会計機の機能滅失を理由として本件契約は終了したと主張する(抗弁3)が、さきに認定したとおり本件契約の特約(一三条)において貸与物件が不可抗力により、滅失した場合でも、借主において規定の損失金を支払わない限り、契約は終了するものでないことが定められているから、右主張も理由ないものといわなければならない。

七そこで、前記瑕疵担保責任免責の規定および危険負担を借主に負わせる規定が、当事者間の公平を著しく欠き、無効であるか、否かにつき、判断する(被告濠綿らの再々抗弁)。

(一)  瑕疵担保責任の免責につき

前記認定事実によつて明らかなように目的物件の選択、特定は借主がこれをなし、物件の引渡も売主から借主に直接なされ、借主において検収をなした結果、物件の瑕疵を発見した場合は、右契約書五条三項、六条二、三項により、貸主にそれを通知して、貸主(買主)が売主に対して有する損害賠償請求権を譲り受けて、売主に対し損害賠償請求をなし得るように定められており、また、貸主は売主との売買契約で、売主が直接、借主に対し購入物件に対する保守義務を負担することを売主に約させている。借主の地位が右のように規定されているのは本件契約が貸主と借主との間の賃貸借という法形態をとりながらも、その実質においては借主が売主から目的物件を取得して使用収益するため、貸主がその中間に立つて、経済的に借主に金融的の便宜を供与するものであることに基をおくものであつて、借主から売主に対しても、瑕疵担保責任追及の道が残されているところであり、貸主に瑕疵担保責任を免責する前記規定をもつて一方的に苛酷でこれを無効ということはできない。

(二) 目的物件の滅失(物理的なそれのみならず、利用価値の喪失を含む)による危険負担を借主に負わせる規定についても、さきに説明したような本件契約のもつ経済的制度としての性格に即して考えねばならない。さきに認定したようなリース料金算定の方法によれば本件契約のリース料は物の使用収益の対価ではなく、貸主が借主に融資したものと考えられる本件会計機の購入代金、金利その他の経費を貸与期間で分割した返済金と考えられ、借主は目的物件の利用を買い切り、終始それを現実に支配するものである。そうして、前記甲第一号証によれば本件契約書一四条一、二項、一五条一ないし四項(なお、一四条三項は別表(12)の付随条項で排除され、保険料は、貸主が負担する。)では、貸主は借主に目的物件に保険を付すことを約していることが認められるので、借主が右物件の滅失により被る損害は右保険金で填補する措置が講じられていることが明らかである。このようにみてくると通常の賃貸借契約のように目的物件の滅失により賃貸借契約が終了し賃料支払義務が消滅するのと異り、目的物件の滅失により 当然、本件契約が消滅し、借主がリース料支払義務を免れると解するのは相当でない。そうだとすると目的物件の滅失による危険負担を借主に負わせる規定が必ずしも当事者間の公平を著しく欠くものというに当らない。また、右規定が被告濠綿らの無思慮に乗じて原告が同被告らにこれを約させたものではないことも前示の通りである。

(三)  以上のとおり、被告らの再々抗弁も全て理由がない。

八次に相殺の抗弁(抗弁4)について判断する。

原告が本件会計機に保険を付する旨、被告濠綿と約した事実は当事者間に争いがなく、〈証拠〉によれば、昭和四六年八月三一日、岡崎地方を襲つた台風二三号による水害のため、本件会計機は浸水して使用不能となつたが、原告が本件会計機を目的としてなした保険の種類は風水害事故の場合を対象外とする動産物総合保険であつたため、被告濠綿は本件会計機の右被害に遭うも、保険給付を得られなかつたことが認められる。ところで、前記甲第一号証によれば本件契約における保険は目的物件が滅失した場合の損害について規定損失金額を超える金額を補てんすることを内容とし(契約書一四条二項)、右保険事故が発生したときは原告が保険金を受取つて借主が原告に支払うべき右規定損失金に充て、その限度で借主は規定損失金の支払義務が免除される(同一五条二項、四項)旨規定されていることが認められるところ、右認定事実のよびさきに判断した本件契約の金融的性格にかんがみるときは本件契約で目的物件を保険に録することを定めた目的は目的物件の事故による損害自体を補てんするというよりも、目的物件の滅失により借主が原告に支払うこととなる規定損失金の履行に困難が伴うので、原告はこの危険に備え、これが履行を補てんするものであり、他面、借主の被告濠綿としても、原告の保険金受領額の限度において、右の支払義務を免れる利益を得ることになる。

そうすると、付保険について双方の利害は相反しないものである。原、被告会社間で、右付保する保険の種類について話し合われた事実は認められないが、原告が加入した前記動産総合保険は、事故の種類を問わず、あらゆる事故に保険給付するのを原則とし、各種動産保険中、最もその危険をカバーする率が高い保険である。

ところが、〈証拠〉によれば、前記昭和四六年八月三一日の台風による降雨量は岡崎市発足以来の記録的なものであつて、右災害の発生は被告濠綿も予想し得ないものであり、被告濠綿は自己保有の動産等についても風水害保険を掛けていなかつたことが認められる。そうだとすれば、原告において風水害事故をも対象とする特約付動産総合保険に加入しなかつたとするも、原告に過失あるものというに当らず、被告濠綿に対する債務不履行とはならないものである。

されば、原告の債務不履行によつて被告濠綿が原告に対し損害賠償請求権を取得したものとなし、右請求権を自働債権として、原告の本訴請求との相殺を主張する被告濠綿らの右抗弁も、右自働債権の存在が認められない以上、理由ないものといわなければならない。

九原告請求のリース料等について、

1  以上のとおりであるから被告濠綿らは原告に対し本件契約にもとづきリース料の支払義務を免れない。

2  (遅延リース料合計金六四六万四、四〇〇円)

被告濠綿は、支払期日昭和四六年二月二八日のリース料(第九回分)から、同四七年一月三〇日のそれ(第二〇回分)に至る期間の一二回分のリース料を各支払遅延したものであるから、毎回金五三万八、七〇〇円の割合による遅延リース料合計は金六四六万四、四〇〇円である。

3  (遅延リース料に対する遅延損害金、合計金四三万五、〇五四円)

右各リース料に対する各支払期日の翌日から昭和四七年一月三〇日までの日歩金四銭の割合による遅延損害金の合計は金四三万、〇五四円である。

4  (即時弁済請求により履行期が到来したリース料合計金八〇六万二、三一九円「未経過利息控除済」)

原告の被告会社に対する前記即時弁済請求により、支払期日昭和四七年二月二九日のリース料(第二一回分)から同四八年五月三一日のそれ(第三六回分)に至る期間の一六回分のリース料合計金八六一万二〇〇円の履行期が昭和四七年一月三〇日に到来したところ、右各リース料は本来原告において、右同日以後に履行期が到来し、受領しうべき金員であつたから、右金員から昭和四七年一月三一日以降各支払期日までの間、日歩金二銭五厘の割合による未経過利息を控除して、被告らにおいて原告に対し、昭和四七年一月三〇日支払うべき金員を算出すると、同金員は金八〇六万二、三一九円を超えないことが明らかである。

(右日歩金二銭五厘の利率については、原告はその根拠を明らかにしないが、右割合は商事法定利率の年六分、即ち日歩金一銭六厘四毛を超えるものであるから右日歩金二銭五銭の割合による未経過利息の控除は許されるものと解する。)

(2ないし4の合計金額および遅延損害金)

5  以上によれば、被告らは、各自原告に対し、前記2ないし4の合計金一、四九六万一、七七三円および同金員から3の遅延リース料に対する遅延損害金の合計金四三万五、〇五四円を控除した金一、四五二万六、七一九円に対する昭和四七年一月三一日から支払済に至るまで、日歩金四銭の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

七結び

よつて被告濠綿らに対し、各自金一、四九六万一、七七三円および内金一、四五二万六、七一九円に対する昭和四七年一月三一日から支払済みまで日歩金四銭の割合による金員の支払を求める原告の本訴請求はすべて理由があるから、これを認容〈し、〉訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条を、また、仮執行の宣言につき、同法第一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(中村捷三 横山弘 原昌子)

〈別紙省略〉

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